簡単な中沢メソッドの使い方を紹介します

次のプロセスで行います。このプロセスは計算ソフトで簡単に実行できます。ここでは
 『中沢メソッドコンサルタント』のページに示しました射出成形機の改良をテーマに説明します。生産条件の最適化などもまったく同じ流れになります。

中沢メソッドのプロセス。
1.目的を決めます
2.機能的要求項目(評価項目)とそれぞれの目標値(または範囲)を決めす
3.それらの機能に最も影響を与える変数を選定します
4.それらを直交表に割り付けます
5.直交表にしたがって実験(シミュレーション)して評価項目に対するデータを採ります
6.計算ソフトにより変数の最適値が瞬時に決まります
7.それらの最適値で再度実験(シミュレーション)して目標値を達成できていたらそれで完了です


それではこの流れに沿って詳しく説明しましょう。

1.目的を決めます
製品開発か、製品の改良か、新技術の創造か、生産条件の最適化か、などなど具体的な目的を決めます。ここでは例として「射出成形機の改良」とします。



2.機能的要求項目(評価項目)とそれぞれの目標値(または範囲)を決めます
機能的要求は3つとします。@ある箇所の
摩耗量(mm)、A生産効率=樹脂流量(g/min)、B消費電力(kwh)。それぞれの要求項目に目標値を決めます。摩耗は何mm以下、生産効率は何g/min以上、消費電力は何kwh以下という風に決め計算ソフトに入力します。これをデザインレンジといいます。デザインレンジは自分の会社の製品の性能以上を狙ったり、ライバルメーカーの性能より上を狙ったりすることもできます。またとくに性能の具体的な性能値を与える必要がないときは実験でえられるデータの平均値より良ければ良いという決め方もできます。計算ソフトはわざわざ平均値を計算しなくても、自動で平均値を計算してデザインレンジを指定できるようにもなっています。

3.それらの機能に最も影響を与える変数(設計パラメータ)を選定します
ここではスクリューヘッドの
リングの内径(mm)と長さ(mm)スクリュウの回転数(rpm)、ヒーターの温度(℃)とします。変数が決まったらその値を3水準決めます。最適値がありそうな範囲をカバーするように決めます。

4.それらを直交表に割り付けます
この
変数と水準(例えばA1,A2,A3・・・)を計算ソフトに入力します。この場合、変数の数が4個なのでL9という一番小さいサイズの直交表(図1)をソフトの中から選びます。変数に3水準の数値を入力すると、表に自動的に割り付けられます。もし変数の数が4個以上になる場合は、その数に合った大きい直交表を選択します。

                図1 L9直交表

No  設計パラメータ 評価項目に対する実験データ
 リング内径   リング長さ  スクリュウ回転数 ヒーター温度  摩耗量  樹脂流量 消費電力
1 A1 B1 C1 D1 ・・・・・
2 A1 B2 C2 D2
3 A1 B3 C3 D3
4 A2 B1 C2 D3
5 A2 B2 C3 D1
6 A2 B3 C1 D2
7 A3 B1 C3 D2
8 A3 B2 C1 D3
9 A3 B3 C2 D1 ・・・・・


5.直交表にしたがって実験(シミュレーション)して評価項目に対するデータを採ります
直交表により9セットの条件の組合せができますから、この9種類の条件で実験をしてその横のセルに
データを入力します。外部条件を変えて実験したり、くり返し実験しますから、一つのセルに普通は複数のデータが入ります。データはExcelにまとめてあると計算ソフトで自動的に取り込む(インポートする)ことができます。

6.計算ソフトにより変数の最適値が瞬時に決まります
データがすべて入力されると瞬時に各変数に対する各評価項目の
レクサット曲線(レクサット関数については拙著『ものづくりの切り札中沢メソッド』を参照してください)が求まります。一つの変数(例えばリング内径)に対する摩耗量、樹脂流量、消費電力のレクサット曲線が求まりますから、その三つのレクサット曲線を合わせて総合レクサット曲線を計算ソフトが求めてくれます。この総合レクサット曲線の最小値に相当する変数の値が3つの評価項目(機能的要求)をもっともバランス良く実現してくれる最適値になります。このような最適値をすべての変数に対して計算ソフトは自動的に算出してくれます。

7.それらの最適値で再度実験(シミュレーション)して目標値を達成できていたらそれで完了です

上記で求まった最適値でシステムを組んで性能の確認実験をします。性能がデザインレンジの中に入っていれば開発(ここでは射出成形機の改良作業)は終了です。
結果は次表のとおりです。実際は3箇所の摩耗量を評価しています。

摩耗量mm 消費電力
kWh
樹脂流量
(生産性)
g/min
リングバルブ スクリュー
ヘッド
内径 長さ 長さ
新型 0.001 0.148 0.247 15.3 130
現状 0.005 0.234 0.533 32.3 54

この表から分かるとおりすべての項目で
大幅な性能改善が実現できています。

もし性能が出ていないときは以下のように考えます。
@最適値が水準の端(例えばA1かA3)である場合は、
もっと性能の高くなりそうな側に水準を振り直し直交表を組み直して再実験します。この場合その値だけを変えて他の最適値はそのままで用いることはできません。なぜならその値を変えることにより他の最適値も変わるからです。
Aそれでもうまくいかないときは
選定した変数以外にもっと重要な変数を探します。そのような重要な変数が見つかれば、それをあまり重要でない変数と置き換えて再度直交表を組み直して実験します。
Bそれでもうまくいかないときは、
その基本構造が間違っているということです。その間違った基本構造に囚われれいるとお金と時間を無駄にすることになりますから、新しい基本構造に変更しなければなりません。このことは多大な無駄を避けさせてくれることになります。

いかがですか。簡単でしょう。中沢メソッドの計算ソフトを使うとかくも簡単に良い結果が出せるのです。詳しい理論は『ものづくりの切り札 中沢メソッド』日科技連を参照ください
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